月: 2014年5月

根拠の無い自信の大切さ


前回、応用問題を解くのに必要なのが、「根拠の無い自信」だというお話をしました。

この自信は、自己肯定感を基盤にして現れる物だと考えています。

 初見の難しそうな問題を前にして頑張れるか頑張れないかは

、「あきらめずに解かなければ」という義務感よりは、「解けそうだ」いう成功の予感や、

解けた後の快感の予感のほうが何倍も影響が大きいのです。
 

今、「やる気スイッチ」という言葉が一般化しつつあります。

一般化とは、世の中の多くの人たちが同意し、

それが有ることを前提にした会話が成り立つ状態なのですが、

どうもそんな都合の良い「やる気スイッチ」は無いようなのです。
 

一昨日と昨日にかけて、ある企業からの依頼を受けて、

子育てセミナーをやらせていただきました。

その事前アンケートにも何件か

「子どものやる気スイッチを入れるにはどうしたら良いでしょうか?」がありました。

やる気を起こさせる魔法の言葉やテキストがあるようにとらえられつつあるように思います。

この子育てセミナーでお話ししたのは、

「やる気スイッチは無い。でもやる気階段がある。」という内容です。


偏差値を20上げるとか、塾のクラスを3つあげるというずっと先の目標に対して、

「志望校に合格するには、偏差値を20上げる必要がある。」とか

「クラスを3段階上げるべきだ。」

という子どもの義務感に訴えかける話をしても効果がありません。

子どもは、途方もない努力を要求されているように感じて、一歩が踏み出せないのです。
 

子どもは(大人もそうなのですが)”ちょっとがんばれば何とかなりそう”と感じることが出来るときにこそ、

すぐに行動に移すことが出来ます。

「成功の予感」を感じることで、目標に向かう課程すらが楽しそうに感じられているからです。
 

大目標に対して何何すべき!と説諭するのではなく、

低い階段をいくつか作ってあげることが大切なのです。

子どもにとって「ちょっとがんばれば何とかなりそう」と思える高さにです。

そして、

「〇〇をやってみない。あなたは頑張り屋さんだから出来るとお母さんは思うわ。

それが出来たら〇〇のような良いことがありそうね。」

という言い方をしてあげてほしいのです。

途中に挟み込む、

「あなたは頑張り屋さんだから」とか

「あなたは頭のよい子だから」とか

「あなたは優しい子だから」が大切です。

その一言が子どもに、

「自分はお母さん(家族)にとってかけがえのない存在なんだ」と感じさせてくれます。

それとともに、ちょっとがんばってみようかなという気持ちを起こさせてくれます。
 

そして、階段を一歩上がろうとする意欲や努力に対してねぎらったり褒めたりしてあげてほしいのです。

その後、少しでも効果が現れれば、

「さすが我が子だ!」と言うようなオーバーアクションの褒め方をしてあげてください。


このように

階段作り

成功の予感を持たせる声かけ

ねぎらい

褒める 認証

これを繰り返してほしいのです。

階段を一歩一歩上がることの快感を覚えた子どもは、自然にちょっと高い階段に挑戦したくなります。

「根拠の無い自信」の強弱は、自分で設定できる階段の高さに関係します。
 

次回は、この「やる気階段」を作っていく上での

良い話し方悪い話し方について書いていこうと思っています。

応用問題に強い子にするために

難問に嬉々として取り組む子もいれば、応用と言われるだけで腰が引けてしまう子もいます。

当然、嬉々として取り組むことができる子どもの方が正解にたどり着ける確率が高いのです。

客観的に見て、解き方の知識量に大きな差が無い場合でもそうなります。


多くの塾では、毎週のように確認テストがあり「解き方の知識確認」が行われます。

その確認テストが毎回ほぼ満点であるにも関わらず、

総合テストになるとからっきしダメという子どもが少なからずいます。

近年その割合がどんどん増えているような気がします。
 

解き方の知識を持っているにも関わらず、それがうまくアウトプットできない、

もっと強い表現をすると、アウトプットしようとしない。

それは、何が原因なのかをずっと考えてきました。
 

その原因は、どうも「根拠の無い自信」を持っているのか持っていないのかだけのようです。

応用問題を解くには、多くの知識やたくさんの解き方を知っている必要があります。

でもそれは必要条件であって十分条件ではありません。

 

応用問題で正解にたどり着くには、2つの思考方向を持つことが大切です。

1つは、今わかってることから次に何を求めることができるのか。

もう一つは、正解にたどり着くためには、何がわかれば良いのか。この2つです。

「〇〇だとわかっているから、ここは□□になる」という思考と、

「ここがわかれば正解が出せる」という思考です。
 

私が、家庭教師の現場で多用する方法は、まさにこれです。

「今わかっていることから次に何がわかる?」

「答えが出るには、何がわかれば良さそう?」

と聞きます。多くの子どもは的確に答えます。

応用問題ができずに困っている子でもそうなのです。

 

質問を重ねることで、その子の中に思考の回路を作ってあげることになります。

何度も同じ質問を重ねることで、その子の頭の中で同じ思考ができるようにすることを意図しています。

でも、これらの質問を少し重ねるだけで、自分の頭の中で自問自答が出来るようになる子と

そうでない子に分かれてしまうのです。


どうも、応用問題が出来る出来ないの差は、もっともっと根本に原因がありそうなのです。

その根本原因が、「根拠の無い自信」だと考えています。
 

次回は、この「根拠の無い自信」についてもっと掘り下げてみたいと思います。

小6 理科の学習 part2

前回は、知識単元のお話でした。今回は、計算単元のお話です。


計算単元には、物理(力学)化学(気体の発生と中和)を中心に、

地学(天体の周期・地震)、生物(蒸散量)などがあります。

それぞれ、仕組みがわかれば、計算手法は算数に比べて実に易しいのです。

ほとんどが比例です。

ですから、これらの単元が苦手だと感じている子供たちは、

仕組みの理解で躓いていることになります。
 

(仕組みの理解)

仕組みの理解のはじめは、「なぜそうなるのか?」です。
アルミニウムに塩酸を入れて水素の発生量を求める問題にしても、

アルミニウムに塩化水素がどのように関わって水素になるのかがわからなければ、

片方が使われてしまったら反応が終わることが理解できません。できれば、原子や分子での基本的な理解をしておいてほしいのです。

●や△や◎を使った反応式で説明されていることが多いのですが、

その部分が大切なのです。

また、酸性のものやアルカリ性の水溶液がなぜ電流を流すのかという

イオンの概念理解も大切です。

でも、この部分は多くの塾のテキストでは省かれています。

また、このイオンの概念理解があると、中和の問題を解くときにに大きなアドバンテージになります。

このように、中学受験に直接関係が無いように見える内容にまで掘り下げた理解があれば、

その後の計算処理が非常にスムースに進みます。
 

力学においては、釣り合いの理解が大切です。

この部分はどちらかと言えば、身体感覚にどうのように繋いでいくかがポイントです。

支点から遠くを動かす場合は小さい力ですむのに、支点に近づけば大きな力が必要になる。

このような経験に基づいた身体感覚が大切になります。

身体感覚につながった理解が無く、

(右の支点からの距離)×(右の重さ)=(左の支点からの距離)×(左の重さ)

という公式だけを頼りに解いているようでは、ほんの少しの応用で解けなくなってしまいます。

「公式の暗記は、確実な理解の後に!」これが鉄則です。
 

(正解にたどり着けるかどうかは、書き方による)

仕組みの理解ができたならば、次は解くために必要な書き方です。

化学単元の計算はほとんどが比例ですから、それが一見してわかり、

すぐに使える形で書く必要があります。

たとえば、

ホウ酸の飽和水溶液が200gあります。・・・・・

という問題については、下のように書きます。

数字の上の段は、その温度での溶解度の数字です。

   ホウ酸     水      ホウ酸水
       25g        100g       125g
  (     )g    (     )g      200g

このように書くことさえできれば、上から下に200/125倍ですから、後は計算だけです。

(*これを比例式で書いていこうとすると時間がかかります。

分数倍(この問題では200/125)の処理になれてほしいのですが。)

この方法は、気体の発生量の問題や、中和の問題にも非常に有効です。
 

力学問題においては、図の中に

「わかりやすい字で」

「もれなく」

「力や重さや距離」

を書き込んでいくことです。

・てこに重さがある場合は、その重心の場所に棒の重さ分のおもりを書く。

・滑車に主さがある場合は、滑車の図の中に重さの数字を書いておく。

・滑車の問題では、ロープ1本1本にかかっている力の数字を書いておく。

・バネの問題では、そのバネの(自然長)(10gあたりの伸び)をメモしておく。

このように、与えられた図の中に必要な数字をどんどん書き込んでいくことで、

答えに近づくことができます。
 

小学生の場合、自力で理科の各内容について仕組みを理解することはかなり難しいのです。

参考書を読み進めても問題集を解いても、

「なるほど!」と感じるような納得にはたどり着けないのが普通です。

この納得感は、塾の先生の話術と知識にかかっています。

また、子どもにとっては、「授業時間の集中度」が大切にもなってきます。

新しい単元を習う小6の7月までは、気を抜かずに授業を聞いてくださいね。
 

すでに習った単元なのに、苦手なままに残ってしまっている場合、

説明が上手な第3者が必要になることがあります。

家庭教師や個別指導のことです。

その際、「大人が聞いていてもおもしろい!」が良い先生の条件です。

理科の学習 part1

5月の連休が終わり、梅雨前の気持ちの良い季節になりました。

私自身も、花粉症が一段落し、ティッシュからおさらば出来ました。

受験生でも、季節の移ろいを感じる余裕ぐらいはもっておいてくださいね。
 

今回から2~3回は、理科を中心にお話ししたいと思います。

今回は、暗記単元についてです。

理科は、暗記教科と言われます。確かに、知識を覚えることは大切です。

でも、暗記の仕方を間違えると、がんばって覚えたのに点数がとれないことになります。

生物単元ですら、そうなのです。

サピックスには「コアプラス」、

日能研には「メモリーチェック」、

四谷大塚には「4科のまとめ」

という理科の暗記教材が用意されています。

早くも、ページを指定されてのチェックテストが始まっているところもあります。

そのチェックテストで合格点をとり続けているにもかかわらず、

大きなテストでは点数が上がらない場合は、覚え方を見直してください。
 

このような暗記教材の多くは、左側に一問一答形式の、(  )のついた問題が、

右側には赤字で答えが書かれています。

その赤字だけを覚える暗記がテストに使えない1つの原因です。

 

たとえば、

裸子植物には、マツ・(  )・(  )・(  )・メタセコイア・ソテツなどがあります。

という問いに対して、

答えは、「スギ・ヒノキ・イチョウ」というようになっています。

 

裸子植物は、「スギ・ヒノキ・イチョウ」と覚えても役に立たないことはおわかりいただけると思います。

子どもには、右側の問題の文章中に書かれていることも一緒に覚えるように言ってあげてください。
 

理科は、図が多用される教科です。

花の絵が描いてあって、その特色から植物の名前や仕組みについて答えさせることがよくあります。

ところが、一問一答形式の暗記教材には絵が少ないのです。

4~5年前の暗記教材に比べればそれでも絵は増えていますが、それでも不足しています。

前の例では、マツ・スギ・ヒノキは針葉樹。葉っぱが細くとんがっています。

それに対してイチョウは遊離脈。外に広がっています。

その特徴を捉えてほしいのです。

また、子葉を土の中に残して成長する双子葉は、「アズキ・エンドウ・ソラマメ・クリ」なのですが、

子葉を地表に出す植物と、土の中に残す植物の成長の仕方の違いを、絵のなかで理解する必要があります。

それらの説明は、平常のテキストになかにほとんど入っています。
 

暗記教材で覚えていくときでも、そばに通常授業の教材を開けて、

いつでもその説明や絵を見ることが出来るようにしておいてください。
 

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