こんにちは。西村則康です。
8月末から9月にかけて、5年生のみなさんにとって大きな節目となる模試が続きますね。
「志望校診断サピックスオープン」
「志望校判定テスト(四谷大塚)」
「日能研 全国公開模試」
長い夏休みを親子で駆け抜け、
「いよいよ秋本番」というこの時期。
すでに結果が手元に届いて胸が締めつけられている方や、
これから受けるテストにプレッシャーを感じている方も多いのではないでしょうか。
「夏あんなに頑張ったのに、どうして……」
そんなやりきれない思いを抱えてはいませんか。
今日は、今まさに不安の渦中にいる親御さんへ、
この時期の公開模試が持つ「本当の意味」と、ここからの向き合い方についてお話しさせてください。
5年生の秋は、誰もが一度立ち止まる「大きな壁」
中学受験において、4年生から5年生の夏までは「前半戦」。
5年生の9月から6年生の秋までが、最も重要で、最も密度の濃い「中盤戦」となります。
実は、この秋を境に勉強の内容はガラリと姿を変えます。
算数や理科を中心に「比や割合」など、目に見えない抽象的な概念を扱う問題が一気に増えるからです。
これまでの「知識を覚えれば解ける」世界から、「頭の中で筋道を立てて論理的に考える」世界への変化。
ここで戸惑わないお子さんはいません。
毎年この時期に行う私たちのセミナーでも、お母さま方から悲痛な声が本当にたくさん寄せられます。
「5年生の2学期以降、勉強内容が一気に難しくなると聞いているが、今後どのように勉強していったらいいか。」
「算数の問題の意味がぜんぜんわからないと言って、問題を解こうとすらしない。」
「うちの子だけが取り残されているのではないか」
そう思えてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。
多くのご家庭が、いま同じ痛みを抱えながら必死にもがいています。
だからこそ、この模試は志望校の合否を占うものではなく、
「夏までの基礎に、どこか見落としていた穴がないか」をそっと教えてくれる健康診断なのです。
「少しでも良い点を取らせたい」その親心は痛いほど分かります
「自信をつけさせてあげたい」
「少しでも良い偏差値を見て安心したい」
我が子を想うからこそ、模試の過去問を解かせたり、直前に対策プリントを詰め込みたくなる気持ちはとてもよく分かります。
ですが、私はこの時期の公開模試に対策学習をすることをおすすめしていません。
模試の直前に詰め込みをしてしまうと、
「今、本当は何が分かっていて、どこでつまずいているのか」という大切な現状が見えなくなってしまうからです。
マンスリーなどのクラス昇降がかかったテストとは違い、公開模試はクラス落ちの心配もありません。
今の合格可能性のパーセンテージにも、一喜一憂する必要は全くないのです。
どうか勇気を持って、ありのままの状態で送り出してあげてください。
「今からなら、十分に取り戻せます」
模試の結果が返ってきたとき、現実を受け止めるのは本当に苦しい作業です。
名門指導会にも、毎年このタイミングで藁にもすがる思いでご相談に来られるお母さまがいらっしゃいます。
「サピックスオープンの結果が思いのほか悪く、このままではずるずると成績を落としてしまうんじゃないか。」
「志望校判定テストの結果で子供のモチベーションが下がり、なかなか取り組まないので受験をやめるかどうかの話をしています」
苦しい表情で胸の内を打ち明けてくださる親御さんに、私はいつもこうお伝えしています。
「大丈夫。今からなら、十分に取り戻せますよ」と。
4年生や5年生の前半は、脳の発達段階として、抽象的な思考がまだ追いつかないお子さんもたくさんいます。
これは「能力の差」ではなく、単なる「成長のタイミング」の違いです。
お子さんの成長とともに、ある日突然、点と点がつながるように「分かった!」と理解できる日が必ずやってきます。
だからこそ、その日が訪れるまでに親が整えておくべきことは、次の3つだけです。
- 「なぜ?」と立ち止まる学習習慣を身につけておくこと
- 「分からない」を安心して解消できる環境を作ってあげること
- 「できない」と責めず、子どもの学習意欲を守り続けること
一番避けたいのは、焦るあまり「とにかく類題をたくさん解かせる」「解き方のパターンを丸暗記させる」という力技に走ってしまうことです。
理由も分からず暗記を強いられることは、お子さんにとって苦痛以外の何物でもありません。
いま親ができる、たった一つのこと
返ってきた答案を見て、点数を責める必要はありません。
「どの単元でつまずいていたのかな?」
「どこまでは分かっていて、どこから混乱してしまったのかな?」
そうやって、お子さんの現在地を一緒に優しく紐解いてあげること。
そして、「なぜそうなるのか」をじっくり納得できる時間と環境を用意してあげること。
焦らなくて大丈夫です。
この秋に見つかった弱点は、本番までに克服できる「伸びしろ」となっていきます。
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